農業もしながら3
川合さんに「ご専門は?」と聞くと、「自分でも分らない」という。
「素人なもんで」というのが口ぐせである。
この「素人意識」には、実は大きな意味がある。
専門分化があらゆる分野に浸透し、その行き過ぎに悩む現代社会は、本当はこの素人の知恵を求めているのではないのか。
素人による家づくりが流行する理由は、ソファー ベッドなどを他人まかせではお金がかかることや、材料や設備やつくる過程での手抜きへの不安や、専門職に挑戦することへの喜びなどであるだろう。
川合さんも「昔から建築というのは素人がやってきたことであって、そんなに難しいことじ幻、ない」といっている。
しかし、川合さんの場合に特殊なのは、彼の本業そのものにさえ専門職意識がなかったということである。
その「素人意識」こそ、住まいづくりのみならず、彼の自然観、科学観、そして経歴そのものにまで個性的な色どりを与えている。